戦うカウボーイ ジェス・ウィラード

ジェス・ウィラード
1881-1968
~カウボーイから世界へビィ級王者へ~
アメリカ合衆国カンザス州出身の身長2mを超える巨漢ボクサーで、黒人初の世界ヘビー級王者となり、当時の白人層から忌み嫌われていたジャック・ジョンソンからタイトルを奪った事で、一躍全米のヒーローとなる。
しかしその事で慢心が生まれ為か以降の戦績は、あまり芳しくは無かった。
1919年、オハイオ州トレドで行なわれた2度目の防衛戦では、新鋭の強打者ジャック・デンプシーに初回から滅多打ちにされてしまう。
初回で倒さなければファイトマネーは支払われないと告げられていたデンプシーの鬼気迫るパンチの連打を浴びながらも、幾度と無く立ち上がって応戦を続けたが、4ラウンド手前で遂に力尽きてその場に崩れ落ちた。
現代なら数発で確実にレフェリーストップになる程のクリーンヒットを無数に浴びてもなお立ち上がり続けたウィラードの丹力とデンプシーの執拗な攻撃の連続に観客達は熱狂した。
その結果、ウィラードは、顎や頬など7か所以上も粉砕骨折した上に歯は砕かれ、複数の肋骨を骨折するほどの重傷を負っていた。
この試合は、「トレドの惨劇」と名付けられ、近代ボクシング史上で最も凄惨な試合であると言われている。
何度倒れても立ち上がれば試合続行というルール無用の喧嘩スタイルは、競技としては未完全であるが、観戦する側は大いなる刺激と興奮を覚えた事だろう。
デンプシー戦では、敗者として強調されやすいウィラードではあるが、一方の見方としては決して諦めない不屈の精神力を示した豪傑として賞賛に値する。
身体とは、やはり精神が引っ張って行くものなのかも知れない。
プロボクシング戦績
36戦 24勝 7負 1分 4無効
ウィラードvsジャック・ジョンソン
ウィラードvsジャック・デンプシー
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