柔道の神様 三船久蔵

三船 久蔵
みふね きゅうぞう
1883-1965
~柔道の神様 ~
最高位十段の妙技に迫る
1833年、岩手県で生を受けた三船は、20歳頃になると上京し、講道館に入門した。
身長159cm、体重57kgと小柄な体躯でありながら、前田光世ら猛者達の集う当時の講道館にて、持ち前の負けん気精神を武器に精進を重ねた。
体格に劣る三船は、力技では叶わないと悟り、相手の身体に触れる事なく倒す技は無いものかと研究に研究を重ねたと言う。
その結果、最小限の力をもって瞬時に相手を投げ転がす“空気投げ”なる妙技を会得した。
空気投げとは、別名、隅落(すみおとし)とも呼ばれ、両手で掴んだ相手の身体に触れる事なく、素早く巧みな対捌きによって、相手を斜め後方へ崩しながら投げ落とす技である。
理論の加納、実践の三船と言われるほど、講道館の創設者である加納治五郎の理論に対して、三船は、自らの実演により技の神髄を示す事から柔道の神様とまで讃えられた。
空気投げの他にも、大車、踵返し、三角固めなど多数の新技を発明している。
スイスイと体を躱すだけで相手が面白い様に転がる空気投げの様子を当時の高段者達は冷ややかに見ていた。
三船自身も、格下の者に対しては非常に有効なものの、実力が同格以上の相手への有効性には、一抹の疑念を抱いていたと言う。
しかし、1930年、全日本柔道選手権大会の特別試合において、佐村嘉一郎七段を空気投げで見事に投げ落とし、大観衆の前で技の効果を証明して見せた。
三船によると、空気投げは相手の体が大きいほど、技が決まり易いと言う。
1945年、講道館より柔道最高位である十段が授与される。
その後、1965年の没後には、永遠の功績を讃え勲二等瑞宝章が授与され正四位に叙された。
十段の妙技が炸裂!
三船十段による10人掛かり稽古
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