マナッサの殺し屋 ジャック・デンプシー

ジャック・デンプシー
1895年-1983年
~戦慄のデンプシーロール
アメリカ合衆国コロラド州出身のボクサーで、「マナッサの殺し屋」と謡われたハードパンチャー。
それまでの重心を後に倒した防御姿勢で戦うスタイルとは異なり、重心を前にかけた前傾姿勢で戦うスタイルのパイオニアであるとされている。
左右に振るウィービング(ボクシング技術)からの腰の入ったパンチの連打は、「デンプシーロール」と名付けられ、現代においてもハードパンチャーの代名詞的スタイルである。
1919年、「トレドの惨劇」と言われたボクシング史上でも稀に見るほどの凄惨な試合では、対戦相手の世界ヘビー級チャンピオン「ジェス・ウィラード」を初回から滅多打ちにして数回のダウンを奪った末、4ラウンドのゴングを聞くこともなく世界王座を奪取した。
対戦相手のウィラードは、顎や肋骨、頬骨など数カ所を砕かれる重症を負った。
デンプシーVSウィラード戦の映像
ハンサムな国民的ヒーローとして人気が高かったウィラードを滅多打ちの半殺しにしたデンプシーの凶暴な姿を見た観衆は、彼を英雄とは見なさずアンチヒーロー的な存在として認識したと言う。
この後も、名だたるヘビィ級の強者達との死闘を繰り広げ、第二次世界大戦で従軍した際は指揮官を務めるなど、時代と共に戦いの中を生き抜い人生であった。
引退後は、ボクシングプロモーターとして活躍しながら時代を謳歌する暗黒街の有名なギャングスター達との交流も重ね、ビジネスにおいても現役時代と変わらぬアグレッシブなファイトスタイルを貫いた。

”デンプシーロール”と呼ばれた攻撃に特化した打撃スタイルは、技術と言うよりは戦いに勝つべく強い意思が現れた天然戦闘形態と呼ぶに相応しい。
防御主体で勝ち残るには攻撃の数倍もの技術と質が必要になると言われるが、攻撃力こそが戦いを勝利に導く本質である事を、デンプシーのファイトスタイルが物語っている。
プロボクシング戦績
83戦 62勝 50KO 6敗 9分
6無効試合
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